米国務省は27日、マーク・ランバート国務副次官補が中国外務省の洪亮・辺境海洋事務局長とオンライン会談を23日に行ったと発表した。中国軍による台湾周辺での軍事演習について、ランバート氏は「深い懸念」を表明したという。台湾の頼清徳(ライチントー)総統の就任を受けて、中国軍は23日から台湾を取り囲む形で軍事演習を行っていた。
国務省によると、対談は米中両国の間の対話を継続する一環として行われた。ランバート氏と洪氏は南シナ海や東シナ海などの状況について話し合ったうえで、米側は「航行の自由を妨害する、中国側の危険で不安定な行動に懸念を示した」としている。また米側は、「台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性」を再確認したという。 中国側の発表によると、双方は誤解を避け、海上でのリスクをコントロールするため、意思疎通を続けることで一致した。
一方で、米側による中国の周辺海域における「侵犯」に重大な懸念を伝えた上、フィリピンとの間で緊張が高まる南シナ海問題などを念頭に「中国と隣国の海上の争いごとに介入しないよう」促した。台湾問題をめぐっては「台湾独立を目指す勢力を容認したり支援したりすることは直ちにやめるべきだ」と求めたという。(軽部理人、北京=畑宗太郎)